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5月に日本選手権へGO!!

写真は昨年の日本選手権、福士さん撮影

 

2017年5月24日更新

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楽しい明日のために

 

3年前に脳出血の後遺症で、今は杖を使って生活している友人女性がいる。長く杖で歩くのはきついので、車いすを押してもらい外出をしているというので、簡易電動車いすを勧めた。誰にも頼らず自分の出たい時にぶらっと出る。気兼ねなく、理由もなく!出られるという自由を、是非手に入れて欲しいと話したら数ヶ月後には自分のものにしていた。

それなら、感想を聞きがてら車いすデートをしようと誘い、彼女のいる横浜へ会いに行った。後遺症は残っているものの仕事を再開している。また、その簡易電動車いすと杖を併用して世界を広げている話を聞いて心から嬉しかった。そばに人がいない心細さと引き替えに、常に誰かが居る窮屈さから解放される喜びを得られる。もちろん独りということは、アクセスの怖さと車いす独りではどうにも出来ない事態も引き受ける覚悟は必要だ。それでも、この開放感はかけがえのないものだと私は思う。

「リハビリをもっと頑張らなくちゃ。ひとみさんはやっているよね?」と、少々気が重そうに尋ねるので、「私?リハビリはやらないよ。え?あなたは一生リハビリするつもり?」と逆に尋ねたら絶句された。障害をもったならば一生リハビリをするものと疑わなかったという。「もし、あなたがリハビリを趣味!というなら一生やっていればいい。でも楽しい人生を送るためにリハビリをするものでしょ」と言ったら心底驚かれた。そんなことは考えたこともなかったと言う。リハビリは目的ではなく手段なはずだ。もちろん、事故や病気後のある期間は頑張らないといけない。でもある程度、自分のゴールが見えたら、そこで終わるものだと私は考える。もちろん体が退化しないように、1週間か10日に1度は、めいいっぱいの力を使うことは良い事だと思う。それは一般の人が体力を落ちないようにするのと同じこと。それを毎日はやらないのが普通の人だ。にも関わらず、いったん障害を持つと、取り巻く人達はそれを当然のように強要する。言われた方は、「やりません」とは言えない、と言うよりもやることに疑いもしない。でも考えてみてください。言っているあなたは出来るのですか?楽しいですか?一生リハビリするのですか、と。

「楽しいかどうか、ではなく、こうなった以上当然でしょう」という人がいた。どうも根性ドラマが好きなようです。どこかでリハビリを終えないと自分の障害と向き合えないと思う。

それを続けている限り、元の自分にいつか治るのだと、どこか望みを捨てきれない。望みを持ちながら諦念するという不健全な精神状態に陥りやすい。ある程度のゴールで受け入れる覚悟が必要だ。自分の障害と対峙することで人生設計に取り掛かれる。そのためにはいつまでも同じことを繰り返さず、時間を大事に使わないといけない。無理して歩く、無理して車いすを漕ぐことが辛くて何もする気力もなくなる前に、効率よく便利な技術を活用して、もっと楽に生きる、その余った時間、エネルギー(気力)を趣味や仕事や諸々の、したいことを見つけたい。その方がワクワクしませんか?その延長に夢や目標が有るのだと思う。

また、よく言われることに、例えば杖を使って歩けるなら車いすを使わず頑張って歩きましょう、とか車いすを漕げるなら、頑張って漕ぎましょう、と。これも間違いではない。でも、これが精一杯という人にとって、「いつも精一杯をやっている」と、もう体力も気力も無くなり外にも出る気持ちも萎えるのが真実です。もし杖で歩くことの限度が100メートルなら、それを車いすに代えて、もっとたくさんの場所に出かければいい。車いすを漕ぐのがつらいなら電動に代えて、もっと距離を伸ばして楽しめばいい、と思う。

そんなことをしたら体が劣るでしょ?って。では、あなたは自転車に乗るところを止めて、毎日自分の足で走って体を丈夫にしましょうとか、歩けるだけ精いっぱい歩くべきだ、とは誰も言わないでしょう。なぜか障害者には根性ドラマを押しつける。それが善意であるだけにわかりにくい。

どこか障害は良くないもの、という意識が有るのだと思う。できる限り五体満足な体に近づくべきだ、という五体満足崇拝の気持ちがあるのだろう。頑張ってリハビリをしようと言う方も言われる方も実は分かっているのに、そこに望みを賭ける悲しさが見える。

障害の残っている、この状態、この体が愛おしい、これで健康なのだと、どこかで腹をくくる、受け入れることも必要だろう。すると、ようやく自分の未来が見えてくる。未来が見えてきたら、本気で自分の将来に向き合える。リハビリは楽しい人生を送るための手段であって目的ではない、それぞれの人が思い描く目的、ゴールにしっかり目を向けられるように、毎日を無為に過ごすことなく充実して生きていきたいものだ。

 

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