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2018年6月1日更新

「QOLを広げる」


hyoushi4gatu

 

 

怪我をした30年前、すでに「ADLよりQOLを優先させる」と言われていた。しかし、未だにその精神が十分活きているのかな?と感じることがあります。

ADL(Activity of Daily Life)は、自分の事は自分でできるようにしましょう、という身体的自立のことを言います。QOLはQuality of Lifeすなわち生活の質を向上させるということ。例えば、洋服を着るのがやっとこさ!という人が頑張って自分で洋服を着て出かけたら、自分の持てる力の大半を、洋服を着ることで使い果たし外出先で疲れて、本来の目的を十分果たせなかった、といった場合。それならば、誰かに着ることを手伝ってもらい、余力を残して、その日を充実したものにするということです。リハビリの過程においてADLは重要で、しっかりやっておくべきことですが、人によってのゴールが有ります。いくら努力しても残念ながら違います。その違いは理解されていると思っています。しかし、その人のゴール、つまりめいいっぱいのできることを要求されることは、しばしばあります。これは日本人気質なのか。まじめで努力することが美徳なのだ、という意識の表れかもしれません。

この数年感じることがあります。電動自転車はご存じだと思いますが、これの車いす版があります。昔からある電動車いすに比べて力は弱いが、折り畳みも出来てデザインも手動(電動ではない)車いすと遜色なくかわいい。私はこれを手に入れてから、夏の暑い時の外出でも助かっています。障害により発汗しないため、夏に自分で漕ぐのは非常に苦しい。なので、徒歩なら たった10分の距離でも自動車を運転して出かけていました。炎天下を10分漕ぐと、その後、体温を下げるのに冷房を体に当て続けて1時間はかかります。尿も出にくく(作成されにくく)なります。

実は、この簡易電動の車いすが楽しくてアチコチに出ていますが、先日は友人と京都で会いました。そこから数駅先に自転車を置いてやってきた友人が私に「自分で漕がなきゃ運動不足になりますよ」と注意してくれました。どう言えば分かるだろうか?と考えました。「想像してみてください。暑いこの京都で今日一日歩き続けましょう、と言われたら嫌じゃないですか?でも自転車に乗って散歩しようと言われたら、ま、いいかなと思えるでしょ?それと同じですよ」と言ったら分かってもらえた?気がしました。歩いて30分の距離を自転車に乗る今、その人に対して、丈夫な足が衰えるのを防ぐために走りなさい、あなたの健康のためよ、と言われないのが普通です。なぜか車いすユーザーには根性ドラマを押し付けることが多い。それが善意であるだけに“タチ”が悪い。車いすユーザーは相手の期待に応えようと頑張ります。真面目にせいいっぱいの努力をします。毎回こんなことをしていたら、もう疲れて出かける気力も無くなります。どちらが正しいとは言えません。ベストはリハビリが趣味ならいいのでしょうね。

一生リハビリを楽しめる(ADLイコールQOL)・・・。私?違います。

さて、私は数人の友人に簡易電動車いすを勧めた。一人は、はじめ 逡巡していた。理由は電動に乗るのは重度な人というイメージが有り、それが二の足を踏む要素だったみたい。それと車いすユーザーですら、電動になんか乗ったら運動不足になるよ、という人がいるのも事実。「辛いことで運動するのではなく、運動は別で、楽しくすればいいのではないかと私は思います。それプラス(セキヅイの)上位障害の車いすの人が背もたれの低い車いす(手動)に乗って、背中を曲げて漕いでいる姿を目にします。背筋をピンと伸ばして乗っている(電動)の方が綺麗よ。だから自信をもってください。」と話したことがあった。その後、電動を手に入れた友人は、今では出かけるのが苦ではなくなったという。海外旅行も手動ではなく電動で行きたいのだと言っていた。「それは、押してもらえるけれど嫌なの。自分の思いのままに動きたいの」と。

なるほど、押してもらうと止まりたいところでも、つい遠慮が有り言えないようです。私は手動の車いすが中心ですが、使い分けをしています。おかげで行動範囲が拡がりました。

自動車を運転できるようになった時には、それまでの点が線になった気がしました。簡易電動を乗ってみると、その線が面になりました。

どなたにとっても大事な時間(イコール命)を有効に使いたいものです。

 

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一般社団法人日本車いすカーリング協会


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