~ 前回のエッセイ ~


~晩秋


gotoキャンペーンの後押しで、一部の観光地では以前の活気を取り戻してきた。

私は仕事で地方に行くことも多く、前からホテル検索をよくする。この10年の間にユニバーサルルーム(以下UDルーム)があるホテルも増えて助かっている。それまでは、県庁所在地に1つか2つほどしかなく、それもホームページに載せていないところが多く、いちいち電話をしていた。UDルームの作りには基準がなく、行ってみて 部屋のトイレは使えても、バスに入るまでに高い一段がある!「何をもって車いす対応というのだろうか?」という場面は多々ある。設計する人の思い込みで決まるのでは、と思ってしまう。ある程度の基準はあって欲しい。

毎回行くまで分からないのでは、かえって泊まらないほうが楽だ。昼間の講演ならば、たいていどこでも日帰り出来る。(余談。東京からは、那覇や稚内に行くよりも新宮や宿毛の方が遙かに時間がかかる。)

最近は車いすで泊まりやすい部屋も多く、ネット検索でも その数は増えた。相変わらず、これのどこがUDルームですか?も有る。

親切なものは写真を載せているところ。ただイメージ写真のところが多く、車いすユーザーが知りたい肝心なところが分かりにくい。UDを謳っているので、段差が無いことやトイレに手すりがあるということは前提として、その先のことだ。お風呂に入り易いか。足が全く動かない人はお風呂を跨げない。一旦、縁に座り、足を入れていく。つまり20センチ以上は座れる幅が欲しい。それを助けてくれるいい位置に手すりがあってほしい。部屋がエレベーター近くだとか引き戸もありがたいのだが、プライオリティーの上位はお風呂、トイレ、ベッドの高さだろうと思う。

昔は、その県一番を代表する老舗ホテルくらいしかUDルームを持っていなかったが、今やビジネスホテルにもある。たいていは一部屋のみだが、それがシングルかツインかスイートかはホテル次第だ。部屋のカテゴリーで選べないのは残念だが、今のところ“あるだけで有り難い”というところかな。アメリカやカナダに行って楽なのは、UDルームが空いていないときでも、全ての部屋のバスルームに段差が無いこと。扉幅も広いので何とか使える。日本でも最近は段差のないホテルは増えてきた。

私は困った時の「トントンホテル」と呼んでいる。これはシェラトン、ヒルトンだ。たとえトイレに手すりは無くても、部屋のバスルームへの段差がないので、どうにかなる。

UDルームはネットで取れないことが多い。予約はホテルへ直接 電話するように、というところがほとんど。だからネットの安い料金ではない場合も有る。値段はホテル次第だ。電話で確約しておいて、ネットで取ってコメント欄に書くことをしてくれるところもあるが、いずれにしても簡単ではないのがネックだ。

今年からドンドン一人旅をしようと思っていた。3月初旬に沖縄に行ったきりだったが、そろそろ再開だ。今までも講演ですべての県を訪れている。岡山には50回は行っているが、それらは行っているだけ。稀に観光をすることはあるが、新幹線駅か空港から会場のホールの往復だ。本当にその地を知っているとは言えない。自分の足(車いす?)で動き、人にふれて風や匂いを体いっぱいに受けたい、それを目に焼き付ける。私は欲しいものは ほとんどないが、体で感じる時間を楽しみたい。コロナ禍の自粛期間を経て更に強く思った。

 

 

 

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