1月のおしゃべり

 

20201月おしゃべり写真
 

 

~洋服のリフォーム2~

    洋服の直しは奥が深い。かなり希望を叶えてくれます!

 


前回、洋服を直してもらっている話をしました。通常の人の多くは、ウエストを出す、詰める、裾上げが一般的ですが、障害者はそれぞれの特徴により、腕が上がらない人、肩回りの筋肉の発達で、そこばかりが大きくなるケース。また、立っている人用に作られた物を座って着ると、上着の前が浮く。ズボンの後ろが下がる等の不具合があるという話をしました。そして、想像以上の直しが可能であるということにも驚いている話をしました。

今月もおしゃべりの相手は、中野佐世子さんです。

 

教育ビデオをご紹介します。

~合理的配慮と職場のコミュニケーション~ 心のバリアフリーをめざして
(株)自己啓発協会 http://www.e-head.jp/
これは、「働く障害者に必要な配慮とは?職場でお互いがいい距離感でコミュニケーションを築くには?」を考えるきっかけになるような教材です。

洋服の不具合があっても、直し屋さんにお願いすることが、一般の人よりハードルが高いということも前回申し上げました。

 

 

どこを直してほしいかのリクエストは、ある意味、「自分の障害をカミングアウトすることでもある」ということが1つと、一般の人では直さないところをやってもらうと、「受け手に、面倒で嫌な顔をされるのではないか、理解できるのだろうか?」という懸念でしたね。

 

 

はい、今もそれは有りますが、積極的に引き受けてくれるところも出てきています。それを面倒と思うより、楽しんでやってくれる。むしろ作る側がワクワクしてくれるお店ですら存在し、とても気持ちよい交流になっています。

 

 

作る人も出来上がりをイメージすることを一緒に楽しんでくれるのね。恐れずに鋏を入れる。そのためには、意思の疎通は不可欠で、プロとしても自信も必要ですね。ひとみさんが「直してもらった服を見せてくれる」と言っていたので、楽しみにしていました。

 

 

はい、まず、オレンジのベルベットの上着です。腕の幅を出すために、前身ごろの見返しの布を縦に切り取り、取った布を腕の縦に入れました。

又、座っていると上着の裾が開きます。後ろに2か所切り込みを入れ、上着が膝の上に垂れるようにしました。

オレンジジャケット

 

 

まるでジグゾーパズルのようですね。とも布が無いので、どこから取ってどこに足すかと考えるわけですね。

 

 

ポケットの内側にある布を取ることもあるそうです。取れるところはどこからでも!いよいよ無い場合は、まるっきり別の布を使用します。

 

 

このツイードの上着がそうですか? ポケット部分を違う色の布で縁取っていますね。

ツイード正面

 

 

はいそうです。ポケットはふさぎました。理由は、車いすから何かに移る際に、車イスのバーにポケットが引っ掛かってしまうからです。破れるし、移る妨げになりますから。

ポケットの入口に薄茶色の布でパイピングしたのは、腕幅や身ごろ幅を出すための布を使ったものと同じ布です。デザイン性も考えてこうしてくれました。

ツイード横

 

 

異素材・異色ですが、とても素敵。違和感がなくマッチしていますね。

素材は何かしら?皮のように見えますが。

 

 

一見、皮に見えますですが、東レのエクセーヌです。こちらも後ろに縦の切り込みを

2か所作り、更に裾を短く切っております。

ツイード後ろ

 

 

車イスの背もたれの中で布がゴロゴロするのを防ぐためですね。

 

 

はい、そうです。こうすると背中にたぐまらず、収まりがいいですよ。

前から見た写真をもう一度ご覧ください。元々のデザインは一つボタンで襟が大きかったのです。これだと車いすの場合、パクっと浮く、ってわかりますか?一般の人でも座った際になります。体に沿わないというか。それを防ぐには、襟開きを小さくすることです。これは、さらに襟自体を小さくしました。ボタンを上にもってきて、2つボタンにしました。

 

 

素敵です。大きな襟は以前流行りましたが、今の年齢だと この方が似合いますね。

ボタンが大きくて大人可愛い感じです。

これは毛皮用のボタンでしょうか?こんな大がかりなリフォームは、お値段もかかるのではないですか。

 

 

確かにね。でも私の頼んだお店はリフォームスタジオというイオングループの傘下に入っているので、値段体系が決まっていて、「あこぎなことはしない!」安心があります。

 

 

潔くものを捨てることも大事ですが、同じくらい物を大事に使うことも大切ですね。

上着のリフォームにあたっていろいろなアイデアを教えて戴きましたが、他にはどんな工夫があるのでしょうか?

 

 

この写真は、ズボンを横から見たものです。裾が前の方を長く、後ろを短くしています。これで座ると、ちょうど裾が横一直線に見えます。既製品で買った場合は、縫い代を出す。または「下駄を履かせる」←これは、裏の布をギリギリまで出して、足らずを別の布で代用して見えない裏側に使うということです。それで、できるだけ前を出します。

パンツ丈

 

 

 

なるほど。綺麗な波型になっていますね。ここでもパズル登場ですね。創意工夫をしながら一緒に考えるのは、その過程と出来上がりを楽しむことができますね。

また、作り手もアイデアを具現化できて、それをお客様が喜んでくれると嬉しいでしょうね。

成功例は別のユーザーへの提案のヒントにもなりますし。

 

 

 

 

職人の技というか、マイスターの自信ね。車いすユーザーでも同じ悩みがある場合や全く違った箇所を工夫してほしい人もいます。高齢によって体の歪みが出ることもまた、既製服が合わなくなってくる理由です。そういった個人に合わせて、一緒に考えてくれるところがあると嬉しいですね。

 

 

 

障害のない人でも自分のこだわりを持ち、直してもらう人もいますよね。ほっそりした女性が、「洋服のどこを直す必要があるの?」と思われても、ご本人にとっては不具合を感じている。納得いくように直してもらいたい人もいます。障害の有無に関わらず、自分のこだわりを叶えてくれることは、生活に潤いと活力を与えてくれると思うわ。

 

 

欲というものは生きていく上で大事なものだと思います。そういうものが無いと、どこか覇気がないし、世の中も停滞していきます。今やマイノリティーとは言えない高齢者、そのニーズに応えること。障害者をマーケットの対象と考えてくれる世の中になってくれることを願います。障害者から儲けてはいけないという思い込み?かわいそうだから厚意でする商売は続かないと思います。購買者と捉え、真剣に考え、商いをしてくれることが良い物を生み出すのではないかな、と思っています。

 

 

 工夫された事例を、もっと見てみたいです。さらに発展した新しい作品ができましたらまたご紹介しましょうね。

寒さ厳しき折、皆様、お元気にお過ごしください。