10月のおしゃべり

10月おしゃべり写真 

 

「補助犬」


2002年(H15)10月1日に 身体障害者補助犬法 がスタートしました。

この法律では「国、地方公共団体、公共交通事業者、不特定多数の者が利用する施設の管理者等は、その管理する施設等を身体障害者が利用する場合、身体障害者補助犬の同伴を拒んではならない。」と謳って、障害者のアクセス権を保障しています。

盲導犬の歴史は長く、かなり周知されています。でも知っているようでいて理解していないことも沢山あります。まして介助犬、聴導犬は「ん?」聞いたことはあるが、どんな介助をするのか、困っていることとは何か?と問われると答えられない人も多いでしょう。私達も全てを知っているわけではありませんが、友人に介助犬ユーザーもいて、会うたびに少しずつ知識を増やしています。今回は初歩の学びのご紹介です。もっと情報を増やした折には、また、こちらのページに載せたいと考えております。

公益財団法人 日本補助犬協会 (←このページをご覧ください。)

今月もおしゃべりの相手は、中野佐世子さんです。

 

教育ビデオをご紹介します。

~合理的配慮と職場のコミュニケーション~ 心のバリアフリーをめざして
(株)自己啓発協会 http://www.e-head.jp/
これは、「働く障害者に必要な配慮とは?職場でお互いがいい距離感でコミュニケーションを築くには?」を考えるきっかけになるような教材です。

 

私の友人、安杖さんはセキヅイ損傷で車いす使用です。彼自身が介助犬のユーザーで、上の公益財団法人 日本補助犬協会 でワンちゃんの訓練や世話をしています。この友人に会うたびに少しずつ「なるほど」を増やしていっています。彼は受傷して数年後、ある企業に採用される際、体力が無いので勤務日数や時間の制限を提案したら折り合いがつかず流れたと言っていました。そんな彼が補助犬の仕事に携わるようになってから、横浜まで片道50キロ運転し、数年後には夜勤勤務もするほどの体力をつけました。これは驚きました。好きなことに夢中になっているうちに自然と体力がついてきたようです。その一番の理由に、生き物を相手にする仕事だということね。待ったは許されないですから。介助される立場であっても、犬に対しても介助しないといけないという相互扶助の関係と責任感が彼に良いリハビリ効果をもたらしたのではないかと想像します。私は彼を通して介助犬の情報を増やしていますが、それ以外の補助犬のことは、良く分かっていないかもしれません。

佐世子さんは、聴導犬、また盲導犬に関しては私より御存知ではないかと思いますが、いかがですか。

 

はい、皆さまよく御存じの盲導犬は 目の見えない人、見えにくい人が、街の中を安全に歩けるようにサポートします。障害物を避けたり、立ち止まって曲がり角を教えたりします。

聴導犬は音が聞こえない、聞こえにくい人に、生活の中の必要な音を知らせます。例えば玄関のチャイム音やFAX着信音、赤ちゃんの泣き声などを聴き分けて教えます。

そしてひとみさんが最初に紹介してくれた介助犬は手や足に障害のある人の日常の生活動作をサポートします。物を拾って渡したり、指示したものを持ってきたり、着脱衣の介助などを行います。これら3犬を合わせて補助犬と言いますね。

 

安杖さんには聞きにくいことや失礼なことも友人なので、忌憚なく質問しています。その一つに、「昔、聞いた話しですが、盲導犬は人の世話をするために、他の犬よりも寿命が短いって本当なの?」と尋ねました。すると、彼は「それは違います。こき使っているわけではなくて、一日の実働時間は合計したら30分から1時間くらいです。それ以外の時間は大事にされ、かわいがられているので、他の犬と寿命は変わらないのですよ。」また、「このような犬は年に1回は体中を調べます。人間ドックのようなものですね。」

人間ではないので、ドッグドックという訳ね。

介助犬は床に落ちたものを拾って(くわえて)持ってきたり、冷蔵庫を開けて飲み物を取ることもできます。便利に使うというよりも、車いすユーザーの不得意なこと、特に緊急時に対応してくれるという安心感が大きいわね。誰もいないところで車いすから落ちてしまった、誰か、助けを呼びたい、手元に電話が無い!自力では動けない、そんな時に携帯電話をくわえて持ってきてくれることは心強いよう。また、精神的に犬を頼りつつも、実は本人の自立をおおいに助けてくれる効果もあります。犬の健康管理は、その主である障害者にあるということ。これは責任重大ね。また補助犬によって外出する機会が増えます、社会と関わる機会も多くなり、心身状態が向上するということ。ちょっと余談ですが、むかし私はひとりで想像していたことがありました。犬に車いすを引っ張らせると楽だな、と。犬ぞりのようにね。もちろん、そんな失礼なことは、彼には、おくびにも出していませんよ。

 

あ~良かった。動物虐待してはいけませんね。お互いにハッピーな関係でいること、これが基本です。ひとみさんの友人は、介助犬と外出した際に、どんなことに困るとおっしゃっていますか?

 

補助犬全体の問題として、外出時に困るのが、ワンちゃん用のトイレが少ないことだそうです。「あら?ペットは飼い主が散歩に連れて行って排泄物を持ち帰ったりしているじゃない。それと同じでは?」と言うと彼は「ペットとは違うので、山手線や飛行機にだって乗れる。そういった時、犬にだって当然トイレが必要なのですよ」と。なるほど、そういえば、私がワンちゃん用のトイレを見たのは、二度だけです。新宿の京王プラザホテルと羽田空港国際線です。まだまだ数が足りないのですね。(参考写真)

大館能代空港補助犬トイレ 羽田空港駐車場補助犬トイレ

また、混んでいる電車に乗るのは、とても気兼ねだと言っていました。その気持ちは理解できます。車いす単独でも、人の鋭い視線に「うっ、いたっ!」と思いつつ気持ちがへこむ時がありますから、まして、プラス犬ですからね。もちろん、彼だって十分理解していますよ、わがままで乗せているのではなく、介助犬がいることは、車いすが必要なことと同様の意味である、ということを。それでも気兼ねになると聞くと、いたたまれない思いになるわね。

 

 

法律がスタートして16年。残念ながらこの法律を知っている方々は少なく、病院や飲食店への同行を断られることがまだまだ多いようです。私も一度渋谷の中華料理店で盲導犬の入店を拒否されたことがあります。

「視覚障害者が盲導犬を伴っていく」ということをあらかじめ電話で伝えておいたのですが、盲導犬を見た店員さんが「こんなに大きな犬だとは思わなかった」と言いだしたのです。これはチャンスと思った私たちは「犬の健康や行動には障害者自身が責任を持っていて、他のお客様の迷惑になるようなことはないことや法律で認められていることなど」を熱く語り、ようやく着席・食事ができました。

しかし、そんな説明より結果的に良かったことは、盲導犬の実態をキチンと見て貰えた事だと思います。食事中、どんなに良い香りがしても犬は「クーン」と鳴くこともなく、おとなしく椅子の下でジーっとしていました。盲導犬のそういう姿を見て正しい理解をしてくれた人たちは、次からはきっと気持ちよく入店を認めてくれると信じています。

しかし、一昨年も兵庫県の男性が病院で盲導犬の同行を拒否されたり、金沢市では盲導犬を連れた男性がタクシーに乗車を拒否されました。(このタクシー会社は行政処分を受けています。)更に聴導犬はもっと世の中で知られていないようですね。

盲導犬や介助犬はラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーなどの大型犬が多いのですが、聴導犬は雑種の小さい犬もいるためペットと間違われ、同伴を断られることが多いと聞いています。

ところで、訓練所に入っている犬がすべて補助犬になれるわけではないですが、どのくらいの犬が実際に障害者本人のところに行くのかしら?

 

補助犬になれる犬は限られています。試験に合格しないといけません。10頭訓練して2頭、多くて3頭ほどとのことです。

彼のところの補助犬はオーストラリアから子犬を買うのと、国内で生まれた子犬から、とのことです。当然、オーストラリアの犬のほうが買う時の費用は高いけれど、補助犬に向いた親から生まれた子犬らしい。それでも、100%補助犬になれるわけではないが成る確率が高いと言う。「そのほうが優秀なのね」との私の発言に対して彼は、「いえ、何をもって優秀と判断するかとは別です、補助犬に向いていると言う意味ですね。向いていないということと優劣とは別です。」

ラブラドール・レトリバーが代表的な犬ですが、この種類の犬は、実は動きが早く、はしゃぐことが本来の性質のようです。「まさはるくんが行く」のテレビ番組に出てくるのが、同じ種類の犬です。確かに、私の知っている介助犬とは違って、動きが激しいです。それが普通らしい。それは優劣とは関係なく、介助犬に向いている犬とは、もう少しゆっくりと静かで、人に寄り添うイメージです。

 

合格しなかった犬も、引き取られていくのですよね。訓練された犬なので、飼い易いと聞いたことがあります。もちろん、補助犬になった犬も、いつまでも働くわけではありません。私達に定年があるように、齢を重ねた補助犬は、ただただ、かわいがってくれる人のところに貰われて、余生を過ごすそうです。 私は友人に「介助犬ユーザーのご両親が、犬を大事に最後まで看取った」という話しを聞いたことがあります。

また、訓練所に入る前の、生れたばかりの子犬を1歳になるまで愛情豊かに育ててくれるボランティアの存在も欠かせないわね。

 

そうです。実は夫の母は動物が大好きです。今は猫を飼っていて、すべてのエネルギーを注いでいて自分の人生をかけていると言ってもいいくらい大事にしているわ。友人から私の母に、その子犬の世話役、パピーさんをやりませんかという話しをもらいました。母に尋ねると「私がパピーさんをしたら1年後は絶対に返さない!一緒に家出して見つからないように逃げる」と言い切っていました。

これでは、ダメですね。私?実は動物全般ダメなのですよ。触ったことが無い。でも友人に会いに行くと、もれなく介助犬も付いてくるので、今では慣れて触れられるようになりました。彼は私には、パピーさんになって欲しいと、ひとことも言わないのよね。悔しい~。

 

それは正解ね。いつも一緒なのだから中途半端な覚悟ではダメですよ。さて、補助犬になれる犬でも、ユーザーとの相性というものがあるようで、マッチングの良い相手でないといけません。賢い犬だからどんな相手ともやっていけるか、というと違って犬も人間も感情があります、それは大事にしないといけないことです。

他に気を付けてほしいことは有りますか?

 

よく誤解されることが有ると言っていたのは、介助犬と一緒に居るのだから、何も困らないでしょう、という思い込みを持っている人がいるそうです。たとえ介助犬がいても、車いすで困ることは色々有るので、是非お声をかけてください、とのことでした。また補助犬が仕事をしている時には背中に布のケープを付けています。その時には、遠くから呼び寄せたりしないでね、でも仕事をしていない時には、どうぞ、遠慮なくなでてかわいがってください、とのことでした。

 

まだまだお伝えしたいことはありますが、情報を増やしてから改めてご紹介します。

季節の変わり目、また今年は天候不順続きです。皆様、体調に留意なさってください。

今後とも宜しくお願いします。

 

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